[そうして見送ろうとした矢先、ふと尋ねられた俺のこと。思わず「あ??」と口を開いて聞き返す。まさかカサブランカでそんな噂が立っていようとは。
この抗争時においてほかの勢力に自身の名を、所属を明かすなど、ましてやその集団に手負いの人間が居ることを知らせるなど、不利益しか産まない行為だが。
でも。なァ。俺は、"正直者”なんだよ。]
…………すまんな、
カサブランカを頼れなくて。
何せ、遺体は"無かったこと”にされちまったもんで。
[きちんと骨などがあれば。きちんと弔って上げることができる状態であれば。カサブランカを頼ることもあっただろう。そんなニュアンスを持つ俺の言葉は、名乗らなくとも、問いに対する「肯定」でしかなかった]