怪我の具合はどうだ。[あの時の男――ケンチクへと声をかけ、持っていた荷物を渡す。]支給品だ。確認してくれ。[ここでは囚人でも買い物ができる。リストに無いものでも、許可が下りれば支給される。囚人同士での物品の受け渡しも、ある程度は認められている。この支給品は、彼宛の差し入れであった。本来の担当者が急病で休んだため、自分が渡すように言われたものだ。丁度、今日の巡回ルートであった。]