[ただ、続く問いにはすぐに首を縦に振ることは無かった。]
わからない。
[今はとっても楽しいよ、だとか。平和って素敵なものだね、だとか。そういうことが言えたらどんなによかったことだろう。だから明日も続いてほしい、って。多分大人はそんな答えを望んでる。
だけど戦いのない生活は、何をしたらいいのか解らなかった。逃げなくてもよくて人目を避けなくてもいい、表通りを歩けるトループでの毎日は、ただただ、そこはかとなく不安だった。
ボクはあの人のよさそうな店主が、裏路地の住人に対して石を投げることを知っている。ボクはあの虫も殺さないような顔をした店員が、飢えた子どもに食料を恵まなかったから、子どもを間接的に殺したことを、知っている。
ぼんやりとそれらを見ていた表情が物欲しそうに見えたのか、カモにしやすいと思ったのか、大量のホットケーキやらを売りつけられたってのはココだけの話]