─組織に向かう道中・フィジシャンと─
大体わかった、ありがとう。
――あなたの素性を、こんな形で知ることになるとはね。
[これまで聞き出そうとしては上手に誤魔化されてきたアリシアとしては、少し複雑な心境であったりするのだが。
ことここに至って、彼の人間性を垣間見た後であればその全てを真実と受け入れるのに障害は何もない。
しかし「葬儀屋」の話をする時に一瞬、言葉を選ぶような仕草を見せたのは──
少なくともその中身までを看破することは出来ない。これまでの説明の滑らかさから、詰まるのには何か個人的な事情でもあるのだろうと一旦は追及をやめることとした。
もし彼が今も「常連さん」だったとしたら聞いていただろうか、なんて意味のない仮定を立てながら。]
脅威かどうかより敵かどうかだと思うけれど、──まあいいわ。フィジシャンさん、次はね。
[さて到着するまでに質問攻めは終わるのか。よほど組織の所在地が遠くなければ、フィジシャンの頬が素敵な音を奏でるまでは現状把握のための投げかけが続くことだろう。**]