[あのXデーからの脱獄に成功したならば、獄中へと届けられた手紙がハリコの目に触れることは(余程の何かが無い限り)ないだろうとは、ハリコの考えの中にもあった。
それでも刑期がまだ続くということを前提とした手紙にしなければ、検閲の際に勘のいい看守に疑われる恐れがあったから、このような締めくくりの文面>>195にするしかなかったのだ。
こうして他愛ない日常の手紙をしたため、文面を見直し――。]
(……あたしの手が血に染まることを、
バレンスさんも、妹さんたちも、望まない)
[バレンスやその下の妹を思って綴った言葉で、自分が何を望んでいるのか――真に何者でありたいのか>>162>>163、そんなことを教えられている感覚を得てもいた。]