ー 舞台裏 回想・今は遠い子役としての日 ー
ぼくは兄ちゃんのこと、兄ちゃんだと思ってるよ!
兄ちゃんはどうなんだよ!ぼくのこと、まだ弟だって思ってないのかよ!
[顔の似ない兄に対して、涙目で訴える少年。
怒鳴るように叫ぶが、怒りよりは悲しみの色が強い。
兄はなにも言わない。弟の瞳から、堪えた涙が一筋落ちる。
血の繋がらない兄と距離を置かれた弟が、自らの気持ちを伝えようとするシーン。
それが、水戸泰誠が有名になるきっかけだった。
ドラマ『アンバランスな食卓』は両親の再婚に伴って変化する家族内の葛藤や悩みを、中学生の兄の視点を中心に描いた作品だ。
その中で、弟はいわば清涼剤のような、場を明るくする役割を担っていた。
それが声を振り絞り、顔を真っ赤にしながら叫ぶ。
泣いて訴えることはなく、涙を浮かべながらも毅然とあろうとして。
その姿を評価してくれる人に恵まれた子役時代。そんな過去。]