― 回想/1年前・夏の終わり・九月/美術室 ―[松本の指先が封筒を摘まみ上げ、>>151退部届の形をした結月の覚悟に目を通すのを見ていた。そして、松本が言葉を発する。>>152それだけで温度が一変するのを肌で感じた。] ……っ![松本をまっすぐ見つめていた結月は驚きに目を見開き、小さな肩を怯えたように震わせる。結月の体格もあって、その姿はひどく弱々しい。表面上はそう映っただろう。しかし、根岸の心中を満たすのは怯えよりも強い歓喜だった。]