[三度目の卒団式でお別れする事になったのは、仲の良かった子だった。家の事情で遠い町へ引っ越す事になったので卒団する事になったのだと打ち明けられた時には我慢したが、迎えの車の中で泣いた。五歳の世界は狭い。もう二度と会えないような気持ちになっていた。卒団式で一緒に話をして、並んでゲームをして、最後の歌を歌う前に堪えられなくて二人で庭に出てわんわんと泣いた。落ち着くまで最後の歌は待って貰えたのは、この合唱団で彼らが一緒に歌えるのはこれが最後だと、大人達も分かってくれたからだろう。]