[ローズさんの疑問に対して、診察程ではないにしろ、何かしら引っかかるものがあるのならばと僕は話を続ける。]
[僕は魔法を使える訳ではないんですけどね。
と前置きをした後に、僕はぽつりぽつりと語った。
先天的に身体が弱く、五感……とりわけ聴力が弱くなった"彼女"の話。>>0:136
その時に、ハッと思いだして彼女の写真を幾つか想像し、産み出せば並べていく。
入院着の様な服装をした、痩せぎすの女の子。
よく手入れされた髪の毛は艶やかな栗色で、やや柔和な笑顔が良く似合う精緻な人形の様な女性だ。
精緻な人形の様な、と言うのは比喩表現ではなく四肢もそれに準ずる程度には現実離れした細さ故。
そんな彼女の耳から頬にかけてが青く変色しているのは魔力による侵蝕だろうか。
これだけで情報になるかなんて分からない。
だけど、きっと、これまで以上に進む"彼女"への理解に、僕はローズさんの見解を待つ事になる。]