変わらない景色のなか
[葬儀屋は、男を担いで歩いてく。
いつもより、ゆっくりと。傷に響かないように。
忘れ物があるというので、彼の拠点に連れて行く。
>>137こちらを見てわらう者、訝しげな視線を送る者、見向きもしない者、流れて行く景色の中に移る人々は、いつもヌルが見ているものと変わらない。]
死んじゃうかなって、思ったの。
[みんなみんな、彼を殺そうとして、守ろうとした。
フットマンがどうなっても、かまわないと思っていた。生きていても死んでしまっても…………それでも、もしも死んでしまったら、少しはこの心臓も落ち着くのだろうかと思っていた。]