……、……エナガ。
[ヘローが「エナガ」と呼んだそのヒトのカタチは、成人としてはおそらく小柄なほう。具体的に言えば140cm程度。
わりと気に入ったらしいワンピース型の民族衣装の黒衣の下、ズボン状の裾から伸びる両脚は、文字通りの小鳥のそれ。その背にはやはり小鳥の――柄長鳥の模様の翼が一対生えている。
黒衣に合わせて頭部を覆うスカーフの下に巻く形で、花柄刺繍のレースが眼帯のように右眼の部分を覆い隠している。
この夢の中であればいくらでも変えられる筈の右眼の在り様を、この妖精は変えていなかった。
それは「うそつき」を厭う姿勢の証か、或いはその右眼もまた「なくした大切なもの」である故か。>>0:411]