ー お出迎えの回想: 白薔薇のツバサ>>10 ー
[このお宿を訪れ、お出迎えをした際に
そのお方が発した言葉は実に冷静なものでした。]
はい。残念ながら。
……きっとあなたには
白の大輪が似合ったことでしょう。
[そして、こちらもまた当たり前のように
そう言って鍵をそっと渡しただろう。
その声も顔もよく知っている。
あの大人気ボーカリスト ツバサ様。
猛々しく歌い、龍のごとく舞い。
魅力的なトークに 女将は何度魅了されたことか。
彼が映る現世の番組が見れるように頑張って何度ブラウン管テレビの頭をチョップしたことか。そんな彼を愛した人がいた。……そしてあなたもその人に愛されたのでしょう
女将は相変わらずにこにことしていた。ツバサ様に会えたからではなく、あなたに会えたから。……ツバサ様推し団扇とかはあとで部屋に隠しておこうとも思いつつ]