― 回想:アレッキーノさんと ―
[彼の問いは小さな呟きだった。>>184
愛する人を全員殺して、一人になったわたしと言う物。
わたしは、わたしにとっての悲しみについて、少し考える。
けれど、そうして考えている内に彼の表情は道化と戻ってしまって、そのまま返事を返す機会を逃してしまった。>>185
歌と共に彼を見送りながら、わたしは続きを考えた。
自分にとっての悲しみについて。
誰かを愛した後、独り残った自分について。
愛した人を永遠に失う事は、悲しい事で、辛い事。
その人の存在が大きければ大きい程に傷は深く、癒える事は無いのだと。
わたしはそれを知っている。
残された傷は時に腐り、自身や他者を蝕み、別な悲劇を生む事もよく知っている。]