今は、いまを生きるといい。
今日が続いてほしいかは、明日に行くお前が考えてくれる。
とりあえず、平和というものも喰んでおけ。
それがお前にとって良いものかどうかも、先のお前が考える。
[全部、未来のお前に任せておけ、と男は言う。
知らないものを知った直後に、それをすんなり受け入れられる人間ばかりではない。
ただ、そこで生きることを強いられてきた人間は、ただそこにしか居場所がなかった人間には。突然やってきたそれに、動揺して、困惑する他ない。
男だって、そう。
平和だ、休みだと他人を焚き付けても、自分が一番どうしていいのかわかっていない。
あのときの、あの日々の。自分を置いて行くことに、後ろ髪が引かれている。
日影におさまりきっていなかった足先を、すっと日影に引っ込めた。*]