[この日、オクリビもこの展示会の現場にいた。
「女王陛下の国民」として、渾沌の国の一員として。
……「電脳化技術を他国に流出させた」という口実>>0:357で滅せられた、かの組織の遺物として。]
―――…私が真に「内通者」であれば、
私のままの姿でこの場に姿を現したりせず、
早々に国を出てヴァルハラに亡命していますよ。
[「中途半端に我々の真似をして」>>#3の報が何を示すのかは、公爵がばら撒いたデータの仔細を参照せずとも推測できた。
25年程前の抗争の口実の真相までは、拉致された「レイ」も、その後の「フアナ」も「オクリビ」も、これまで知る機会が無かった(機体内のデータにも事の真偽に関する情報はなかった)。
けれども過去の事実がどうであれ、この現状においては「シンギュラリティ」の遺物に疑いが掛かるのもやむを得ないか。
それで時折この機体の己に向けられる疑心に対して、女は都度疑惑の否定を返していた。]