[結月は深く息を吸う。背筋を伸ばす。怯えて背を丸めてしまっては、元より小さい身体がより一層縮こまってしまう。胸を張って、顎を挙げて、決して下を向かないように。ここは結月が美術部を退部するシーンだ。苦悩や葛藤、苛立ちを御しきれない幼さ。幸阪結月の一面が色濃く出る場面でもある。松本は存在感を示しながらも決して前に出ない。結月を引き立てるような演技が場を引き締めている。負けたくないと思った。負けてなるものかと思った。その思いが、原作よりほんの少し結月を強くする。]