[さて、ヘイヴンへの帰還直後には確認できていなかった「フルト」個人宛ての手紙を、この日に漸く回収し、自室で開く。
そのうちの一通の宛先には、強く滲んだ痕があった。
――それだけで、自分がその人に告げたことの意味を、改めて自覚させられた。
その書き出しは、キューはもうこちらを「シェルタン」でないと理解している、と判るもの。
本文にもところどころ強い滲みが見られる手紙を、カラスはゆっくりと、読み進めていく。
この時もう既にアルレシャには「愛する人」の訃報を伝え、受け止めて貰っていたとはいえ。
「友人」の死を告げられたキューからの手紙に向き合うことが、苦しくならずに済む訳ではない。
言葉の上には表れていない感情を示すかのような滲みに覚える、息苦しさにも似た胸の閊え。]