[あの“Harriko”がライバルの晴れ舞台を惨劇に変えた――という認識のみならず。
その惨劇の犠牲になったギタリストが公の人だったこと、しかも多数のファンを抱えていたバンドのメンバーだったということが、余計にハリコへの風当たりを強めることとなった。
ただでさえ「熱愛報道」が出た時には、主にバンド側のファンの一部(あくまで一部だ、ということはここで強調しておこう)からバッシングが飛んできたこともあっただけに、その果てに待っていた報道がこうした形の訃報だったことは、控えめに言って、世間に衝撃を与えた。]
『____くんを殺したあの女が、
なんで死刑にならないんですか』
『ちょっとキラキラちゃんの動画コメントに
復讐のお願い書き込んでくる』
[流石にここまでの言葉はハリコの元には届かないようにされていたが(あれだけ甚振りたい虐めたい放題の看守たちを抱えるこの監獄でも、刑を受けるべき囚人の自殺は避けたいのだろう)、塀の外側に残してきた彼女の家族や、今でも現金の差し入れを続けている社員のひとりの元には、この手の言葉が届いてしまうこともあったようで……]