[――――。 ヘローの乗っていたものから2台後ろにあったオープンカー。 そこから降車し、機工のシラサギの跡を静かに追う影がひとつ。 ちょっとした音でも響いてしまうこのホラーエリアにあって、その影は足音も衣擦れの音も響かせない。 その2本の脚は、小鳥がごとく細く鋭く。 囁く声は、けれども小鳥のさえずりがごとく、周囲の音に融け込んでしまう。 他の誰に気づかれることもなく、気配を漂わすこともなく、 そっと、じわり、忍び寄る影がひとつ――。]