[戦場という死線の中生と死の境を今もなお縫い進む少女が女にとっては、とても眩しいものに見えた。今の女には到底叶わぬもの。明け方を駆け抜ける一筋の軌跡のように風に溶けて駆ける少女の姿を見ることは、もうないかもしれない。けれど、それも仕方のないこと。統率を乱すものは必要がないから。戦で役に立たぬものは価値がないから。作られた意味を、生きている理由を求め彷徨っていた女には、もう何も残ってはいない。]