…そっか。 随分とたつから、ちゃんと残っているといいね。[あまり嬉しそうに見えない表情にかつて話をしていた理由を重ねて、女は曖昧に笑みを返す。それでもなお、行こうと思う場所があるのなら相当に思い出のある場所なのだろうと、女は思ったことだろう。だが、全てがその当時のまま、残っているとは限らない。それは女の現状が体現しているようなものだ。]