[そんな温かな遣り取り(クマたちは何も喋らないが)を目の当たりにすればこそ、「善良な魂」という一言も出てしまうもの。
とはいえここに放り込まれた囚人たちは皆、何かしらの形で犯罪者の烙印を押された人間だ。勿論、ハリコやケンチクのような無実の「善良な市民」もそこには含まれる訳だったが……。
彼自身に対しての「善良な魂」への困惑や戸惑い、否定しかけるような言葉を紡ぐ様>>174を目の当たりにすれば、アレッキーノは本当に何かしらの悪に手を染めた者なのだ、とハリコにも察せてしまう。]
そんな風に戸惑えるくらいなんだから、
ええ、あなたも「まだ捨てたものじゃない」わ。
[ピエロの化粧を纏った彼の中の“悪”を暗に認めながらも、ハリコは偽りないやわらかな声で肯定した。]