[「お前と踊ってたらおじさん死んじゃうよ>>186」と言われれば、ともすれば腕のスピードが上がるだろうか。
あっという間に接近し、歩いて数歩の距離に詰まると何やら鉄パイプらしきものを蹴りあげるフットマン。
体を狙う銃を警戒していたアリシアは、拳を狙ったパイプに判断が一瞬遅れ、軽い衝撃の後その軌道はやや上に。
胸の中心を狙った拳が肩を掠める……ことはなく、そのさらに外へ向かう。
それにいち早く気付けば、即座に飛び上がりその腕を盾にしながら旋回し着地しようとする。
そのわずかな判断の隙と動揺をフットマンが見逃さないのであれば、体を狙って銃弾が放たれる事だろうが──
すんでの所で腕の陰に隠れ、被害を免れるだろう。
そうして再びフットマンの元へ駆け出す。
隙をうかがい、待ちの姿勢に入るフットマンに、拳が直撃することは未だ無い。]