…ッッ
[シーシャが彼らを弱らせてくれたことを知っていた私は、火のように燃え盛る憎悪を彼らに向けました。
姿は自然に狼に、瞳は紫から赤へと変貌していったのでしょう。
私は、手負いのニンゲンなどには到底捕らえることの出来ないスピードで襲い掛かりました。
捕食ではなく、ただ殺すためだけに、この牙をとがらせたのです。
幼狼の反撃に驚いたニンゲン達の動揺、恐怖。
擘くような悲鳴が響き、けれど、呆気ないほどすぐに、辺りは静けさを取り戻しました。
追手は殲滅、真紅の海に佇む血濡れの狼を見たニンゲンは誰も居ませんでした。]