『そこは――、』
[そこは駄目だと口にするより先、女の言葉が続く。
屈託のない子供のような笑顔で続けられたのは、許容できそうで、出来ない物。
許せそうで許せない物。
自分の引いた線を軽々と飛び越える物。
カン、と。愛機の足場に足をかける。ライトを口に咥え、一気に女の居る場所まで登り切った。]
『……そう、其処に乗るんだ、
よく知って居るな』
[咥えて居たライトを、右手に持ち変える。
左手は機体にしっかりと引っ掛けて、いつでもハンドライトで殴れるようにしておいた。
深夜の不審者への、対応範囲内だろう。改人相手であればこちらが男でも多少は言い訳が立つ。
良く分からないと宣う目の前の人物に、不信感をあらわにしながら、少しづつ言葉をつけ足して。]