― 航行中のこと(回想) ―
[そんな風に誰かと出会ったりはしていたが気まずい思いをしたこともあった。
それはある日の食堂のことである。
食事をアンドロイドへと注文をした。
そこで問題なのがアンドロイドはアンドロイドでも従業員型ではなく、自分と同じ搭乗者だったことである。
言い訳をさせてもらうと、人かアンドロイドかというのは発達した現状においてぱっと判断できる要素が少ない。製造会社によって特徴が、などはあるかもしれないが少なくとも俺はしらん。
だから眼鏡型の電子機器がアンドロイドだと判別した人を見つけたときに、搭乗者だと思わずに従業員と勘違いした。頭が鈍っていたのも起因している]
コーヒー頼める?出来るだけ濃いやつ。変な恰好で寝てたせいでなぁ。頭がぼーっとしててよ。
後はなんか腹に溜まりそうなやつをお願いな。
[ただそんなことを知らなかった自分が注文を頼んだ相手が、スイッセス。あるいは製造番号RS‐63857のアンドロイドで搭乗者だと知るのは少しだけ後のことだっただろう*]