[たったひとりの現実でこの真実に気づかされた時>>2:207とは異なり、夜明けの近い夢の中では、このメイクは崩れはしない。
機械の夢の鎧はあっけなく、灰被り姫の魔法のように崩れてしまったというのに。]
「……、うそ。うそ。気づかなかった。
あなた、心の中でまでずっと、嘘を吐き続けていたの?」
いや。私だって、自分でも、分かっちゃいなかった。
今から思えば、君の言った「やきもち」は、
本当に真実を言い当てていたんだろう、な。
「ヘロン。……ヘロン、」
[滲む視界の中、エナガの驚愕をその耳で捉えながら、ヘロンは笑ってみせた。]