[それから幾らか……いえ、大分と言うべきでしょうか。
「先輩」が身を離す気配を感じ取ってから、白薔薇は抱きしめていた両腕を解きました。>>205]
私は、君を見苦しいとは思わなかったよ。
[こう笑って返す白薔薇は、あくまで植物です。同じ人間相手から見ればやっぱり「見苦しい」かもしれませんが、その辺りまでは白薔薇は否定しませんでした。
ともあれ、声の調子は兎も角として、泣き腫らす前よりも「先輩」の表情が明るくなっていることは白薔薇にもわかりました。話を聞いてもらってすっきりした、という言葉の通りに。>>206]
どういたしまして。
君を助けることができて、良かった。
[重ねて告げられた「ありがとう」に、今度は笑顔も添えて(そしてまた、読み取ってしまった内心のことを口にしてしまいながら)安堵を示しました。]