[……が、「すごい寒い」>>206の一言に、白薔薇は本当に漸くはっと気づかされました。
何せバラは総じて寒さに強い植物です。冬の休眠期こそあれ、ある程度までなら凍える大気にも耐えてしまえるのですから、寒気がヒトの身体に与える影響については聊か鈍い所がありました。
ましてや今の「先輩」は浴衣姿です(※白薔薇は知りませんでしたが、湯上りからの湯冷めのことも心配しなければならなかったでしょう)。あんな格好で庭に駆け込んだ若者も若者だったとはいえ、白薔薇はなんだかんだで文字通り人間ではなかったのです。]
そうだな。中に入ろう。
人間であれば凍死してしまう。
[いつの間にか雪自体は止んでいましたが、そういう問題ではありません。あの鐘が鳴る程に暗くなってきた冬の夜のこの寒さです!
そしてもう「先輩」も死んでいるという事実に対してボケたことを口にしながら(※さらに言えば、本当に凍死してこの宿にきたお客様もいるかもという考えも抜けたまま)、「先輩」に促されたとおりに白薔薇は宿の中へと引き返しました。]