[ここで白薔薇が、昴の心のうちにあったこの曲を歌ったのは(そして、他の「先輩格のバンド」の往年の名曲も)ただ、己に向かない彼の心を占めるものを自分の耳で理解したかったからだったのでしょうね。
この歌声がこの世の昴のもとにまで届いている、と白薔薇は特に考えてはいません。ただそれでも、まるで自分自身でも確かめるように、白薔薇はツバサ様のお声で歌い上げました。
君をうらんではいないと、そう示すように。]
君が愛したメロディとは……流石に違うかな。
それでも、昴が何に惹かれていたか、分かった気がする。
[さて、本当にここで心配すべきは、白薔薇を喪い残された理音と昴との確執のことだったのかもしれませんが……それは、この場ではどうしようもありません。]