[ハリコは獄中の机にレターセットの残りを広げ、ルミ宛てに何かを書き綴っていた。「残り」とはつまり、この前にも書いていた手紙があったということだが、そのうちの一通については別の機会に。 それを封筒に入れて糊付けし、件の看守へと託す。]『へー、ラブレター? これ。 あー別に何も言わなくて大丈夫大丈夫。解ってる(勿論検閲する)から』[これは脱獄に関する手紙でも何でもない。だから別に覗き見られたって支障はない。 にやにや笑う看守が懐に手紙を納める様を、ハリコはまるであたかもはにかむような面持ちで眺めていた。]