[それでも、私の中にある幼い頃の記憶が、あんな人間ばかりではないと伝えてくるの。
現に最期の時まで、命を賭して私を助けようとしてくれた彼も人間で。
いっそ、憎みきってしまえたらいいのに。それも叶わない。
だって、それが出来たとしたら私は救われるの?なんて、私が私を苦しめるから。
何が正しくて、何が間違っているかなんて、立場によって変わってくるもの。
人狼は人間を食べなければ、生きてはいけない。
それは紛れもない事実だから、その事実だけで必然に、人間たちが私達人狼を駆除しようとすることを止められない。
個体では人間に優位な点が多い人狼でも、圧倒的な人間の数には敵わないから。]