[続く質問の答えには、おどけて濁されたと呆れれば、私がお菓子を食べている時にも見せる慈しみの顔が覗いて目を見開いたりと反応を返す。>>198
彼もまた私と同じで、大切なものを奪われた末にここに来たのだと理解した。
『娘にしてあげたかったこと』と言う言葉には、私自身にも痛いほど突き刺さるものがあったから。
そっと伸ばされた手は避ける事なく──少し不機嫌そうに目線は反らしながら──頭に触れられる事を受け入れた。]
……ずるいのよ。亡くなった人に私を重ねるなんて。
そんなの、エゴなのよ……。でも……分かるのよ……。
[私自身も、求めるが故に自分のエゴを押した事を思い出す。>>0:381
あなたも、きっと、"その瞬間"に時が止まってしまった一人で、欠けてしまったその先を追い求めてるんじゃないか、なんていうのは私が思っただけの事。
そして、アレッキーノの答えから。
私に向けられていた不可解な感情に合点がいく。
それが"父性"であったのだと──与えられてこなかった私にとって知りようがないものに──少しだけ、心が躍った。]