撤退 そして過去を思う
[負傷した箇所の部品や装甲が剥がれ落ちないように、
手で抑えながら影から影へと逃走を続ける。
この鮮やかな金髪のいいところは、
普段輝いているぶん、薄汚い布に包んだだけでも
隠密性が格段に上がってくれるというところだ。
この大喧騒のなか、憐れに逃げ惑うガキをわざわざ追いかけるやつはいない。もしいるとするならば、それは雑魚をいたぶるのが趣味なだけの馬鹿だ。相手をすることにも値しない。近づいてきた瞬間に、その喉仏を掻っ切って、すぐさま影にまた隠れる。]
…俺だ。補修の準備しとけ、外装が壊れた…
…おい、あいつらがどこの組織の奴らか分かったか?装備品についてる電子機器からハックでも何でもしてさっさと中身割れボケカス…
[片手を耳に当て、通信を飛ばす。
あのネズミたちを逃さないと言わんばかりに、
殺意の刃を尖らせたまま、スラムの中に何ヶ所か備えた、補給や治療用の小拠点へと向かう。]