[そんな観客にダンと片足を踏み鳴らし全身で否を唱える]
違う、違うでしょう?
本当はみんな心の底では復讐したがっているくせに!
復讐はいいものです。
完膚なきまでの復讐は踏み躙られた心と尊厳を最高に回復させてくれる!
現に我輩は復讐して気分スッキリ爽快そのもの!
それでも復讐しない理由はただ一つ!
『覚悟』が足りない! 悪に堕ちる覚悟が足りないからダ!
みな、どうしようもなくか弱く善良でイカレていないからだ!
ああ、なんていじましく惨めで愛らしいのでしょう……!
私はそんなか弱く善良な人々を愛している。
だから、だから──……
[ばっと両手を広げて空に向かい、叫ぶ]