[…まだ化物が、人間の幼体であった頃だ。
男を拾った醜女は、顔に大きな痣と傷を持った女だった。
ただ同じなのは、髪の色が互いに赤に近かったこと。
気の狂った女は、それだけでも彼を子供と思い、
大切に大切に育てた。
薄暗い路地裏の片隅で、なんとかゴミとボロを積み上げて作ったねぐらで、抱きしめられて過ごす日々は悪くはなかった。
…彼女は、少年のことを私の太陽と呼び、
その汚い赤のくせっけをなでてくれていた>>0:405
…太陽とは、なんなのか。
おひさまを浴びるとはどういうことなのか、
少年は知らなかった。
だから、少年は女に一度だけ頼んだのだ。
『おひさまの光を目一杯あびてみたい。』と]