― ライブ会場 ―
[青年に連れられてきたライブ会場は、思っていたより人が多かった。
第一印象はソレ。
次、歌ってトークしている人間に見覚えがある。
『嘘だろ……』
残念、嘘ではない。声に出すことは無かったが、頭痛がする。同じ名前な事は知って居たが、同一人物とは思わなかった。
国家機密警察様がこんなところで一体何をと問い詰めたかったが、人目がある場所でいきなり詰め寄る事なんて出来る訳がない。故に詳細を聞くのは後日もしくはお預けとなっただろう。
曲を楽しむのもそこそこに周囲を見渡す。
……表面上、変化はない。
だがカメラの1つや2つ、5つや10ぐらいは軽くあるだろう。>>156
口笛を吹く青年から離れすぎず、出来るだけ下がった位置に陣取った。
最中腕組みをして少し呆れたような顔を見せたりして。
屋台で*いちごみるくアイス*を買ったりして。
けれど曲の区切りに幾つか拍手を贈って。
"泥人形"が出来る当たり障りのない範囲での反応を返していたが、こういった催し物に参加するのは初めての事、内心はとても楽しんでいた。
気に入りは新曲だったが、それを伝える機会はあったかどうか、さて。**]