─悪魔と呼ばれた男と─
[どれほどの時間だっただろうか、飲み物の補充や何やらをしていれば不意に私の名を呼ぶ声>>217。
意識が混濁している様子で、もしこれが初対面だとしたら傷だらけな体も相まって間違いなく心配する所だろう。
もっとも彼の異名も素顔も知っている今となっては、心配などするだけ損だとわかっているのだが。]
そうよ。さ、冷たい物でも飲んで。
[『アリシアか』と問われ、答える。
穏やかな笑みの陰に伝う汗は熱か疲労か、意識がはっきりした後でもどうやら力が満足に入らない様子で。
……いや、さっきまで電脳世界に居たからなのかしら?]