「誰から」と聞かれれば……「誰からも」というのが答えね。
[少し話すや否や、汗を拭き飲み物に口を付けるフィジシャン。
一瞬見えた悪そうな笑みもどこか弱弱しい。]
でもあの戦果を「それなり」なんていうのは、少し謙遜が過ぎるわ。
[たしかに悪趣味なクラッカーというのは否定できないだろう。
しかしどうやら組織内でのフィジシャンの評判は凄まじく、聞けば一人でマフィアを壊滅させただの、夜の女王に匹敵する組織をかつて壊滅させたことがあるだの、逸話は枚挙にいとまがない。
そんな彼が夜の女王のアリアに残り続ける理由とは一体何なのだろうか。
そう思いながら疲れた彼の様子を見つめる。]