裏路地・スラムへ続く道
[噂では、スラムの方で動きを見せるマフィア団体があるらしい。
「BloodSun」という名前のその組織は、掃き溜めにあるものであれば玉も石もかき集め、覇権を狙う有力組織のひとつだということは知っていた。
それがどうも血気盛んだとか、
暮れぬ朝の王を叩くと意気込んでいるとか、そんな事を話しているのを仕事の傍らに盗み聞きした。
こういう時は五感の優れた機械の体は便利だと思う。
さて、とはいえそんな場所に殴り込むなんて命がいくつあっても足りない。
昼の片付けを済ませ、夕の支度が非番なこの日、目立つ機械腕は部屋に置いたまま扉を開く。
厚底の靴を履き、髪をまとめて服に仕舞う。
安物の服を破って汚し、きれいな肌に砂を塗る。そんな気の乗らない変装のため尚更人目につかないよう気を払い、中央通りから逸れてゆく。]