回想、あの子の心象風景
[それは何時だったろう。
新たな自我の目覚め、なんて言えば聞こえは良いだろうか。
存在そのものが歪な私は、ふとした瞬間そこにいて。
あの子が足りなくて、欲しがって、求めていたモノをぐちゃぐちゃに詰め込んで生まれたのが私だった。]
──大丈夫? 元気をだすのよ、私がついてるのよ。
[あの子が欲しがっていたのは、友達。
いつも独りぼっちだったから、心配してくれる人が欲しかった。]
──心配ないのよ。ご飯くらい、私がちょちょいと取ってきてあげるのよ!
[あの子が欲しがっていたのは、ごはん。
いつも虐げられていたから、満足に食べられず、小さな身体だった。]
──少しずつ頑張ればいいのよ、だって、あなたは私と同じなのよ!
[あの子が欲しがっていたのは、好かれる自分。
いつも静かで暗かったから、明るくて元気な子を羨ましそうに見ていた。]