[――その場に遺されるのは、悉く、脚部を破壊された機械化人類たち。
ある者の脚はその材質故に、叩きへし折られ、歪んだパーツをぼろぼろと零す有様。
ある者の脚はその材質故に、一刀両断の「きれいな形で」地面に投げ出されていた。
近接の武器しか持たない者であれば被害は脚だけで済んだが。
うっかり銃器を出してしまった者は、腕部や銃砲内蔵パーツも同様に斬られ、踏みつぶされている。
倒された全員に共通していたのは、頭部や胸部の破壊はなかったということ。
人型の機械化人類のCPUが格納されていると思しき箇所だけは、意図的に破壊が免れられている。
人道的措置? 本格デビュー前の禁則事項?
確かにこれは、「不殺のアイドル」の行いではあった。
けれども抗争絶えない組織においては「捨て置ける死人」よりも、「足手まといの重傷者」の方が厄介になることがある。]