[順番を待つこともなくウォータースライダーに乗って。
ボートで緩やかに上った山を一緒に一気に下りました。
水しぶきを全身に受けて、濡れてしまったことすらも楽しくて、そんな姿を笑い合う。
持ってる傘なんて、何の役にも立ちませんでした。
けれど不思議も不思議なことに、濡れた身体や洋服はボートを降りると乾いているのだから、流石“夢”と言わざるを得ません。]
うん、すごかった。
濡れても安心だし、また乗りたいかも。
次は──レオーネくんがお勧めしてたホラーエリア、行ってみる?
[楽し気なマウスくんに応えれば、不意に耳に届くいつもとは違う声。
あの時の顔に、その本音を垣間見て告げたことは、僅かながらでもマウスくんの糧になれたでしょうか。
駆け出していく後ろ姿を見つめながら、私はさしていた傘を持つ手に力を込めました。]**