現在:裏通り、工場近く
[そこは、とある工場の近く
>>225。
リリオの職員だった頃から、その場所に女が近づくことは無かった――近づけなかった。
フットマンの足取りを追い、機械の暴漢を切り捨ててきたこの過程で、幾らか地理感覚がおかしくなった結果の到着だったのだろう。]
――――…、
[そこには人間の影かたちが、遠目にひとつ、ぽつりと見えた。
単身かつ手負いという訳でなくとも、オクリビの方から相手に斬りかかる意思はなかった。腰に佩いたカタナに一応手は添えておくも、鞘に仕舞ったままの状態で]
貴方、何をしているの?
そんな恰好で、一人きりで。
[オクリビは「思い切って」、明らかに生身に見えるその人影に、声をひとつ掛けてみた。]