[ヘローは、その人――「月咲ラナ」の髪型や服装から、彼女が女優やモデルだろうなどとは特に考えてはいなかった。
たとえその花を散りばめたような(ヘローにはそう見えた)出で立ちが現実の「琴水月奏」のそれでなく、画面の中の架空らしい女優のコーディネートであったとしても、だ。
ヘローの出身地“パンパス・コート”は、華美で豪奢な服があまりにも日常にありふれすぎている――そういう圧政下にある王国だ。
他の世界や社会における芸能人らしい華やかな衣装も、その王国では「誰もが一般に着ているもの」。王や貴族の権威などを示す意匠でもない限り、特別でもなんでもない。
そしてこの時のヘローの、黒色のレザーを多用した服装>>0:71>>0:73もまた、見る者の出身や文化次第で「ハードロック奏者っぽい」>>237と捉えられ得るもの。バンドマンに見える……というには中性的なデザインではあったが。
……それよりもシラサギめいた頭部パーツやカチューシャのほうが目を引く? それもまた、見る者次第。**]