前にね、迷子を届けたことがあったの。泥だらけで、家の場所を聞いたら表通りにあるって言うから、一緒に行ったんだ。そのコだったのかな。[子どもを家まで送っていったとき、家から二人の大人が飛び出してきた。泥だらけのコを抱きしめて、ヌルに何かを叫んでいた。何を言っていたかは、覚えていない。なぜだか、無性に祖母が恋しくなった。]届けてくれて、ありがとう。[祖母が付けていたきらきら輝くものとは違うけれど、とても美しい贈り物。壊れないように、ハンカチで包んでポケットにしまう。]