[石に転がった文字から採った名前。
人によって、名を拾う先は石だけではなかったかもしれない。
あるいは名を与えられることも(フアナ自身がそうだったように)。割り当てられた役職がそのまま個人名になることだってある。
そして、そんな名すらない人間だって、いる。
スラムにおけるこうした事実自体は、実際にスラムから少女を保護してきたことのある施設の者として、既に知識の中にはあったのだが]
ズィー。
……、拾い物の名前、だったのですね。
[それでも言葉に幾らか間が空いたのは、リリオが「保護しきれなかった」少女の存在を改めて自覚したから。
同時に、「保護」を求める少女ばかりではない、とも。
オクリビの歯切れの悪さには、こうした思考の複雑さが滲んでいた。]