― 現在:商業集落『大通り』 ―
ん、ああ。イクリール。
今日は『こっち』に出張かい?
いつもご苦労様だ。
[にこやかに声をかける幼馴染>>168に、
向ける声は嘗て1歳年上の彼女を姉と評していた時の
明るいものではなく、穏やかではあるがどこか間延びしたもの。
活発に外で遊んでいた過去を言うには、
国に仕え続ける弟や両親を喪った「姉」と
罪人として兄を奪われやがてここに流れ着いた「弟」は、
随分とその立ち位置は違ってしまっている。
かたや王へ信頼を寄せられる医師。
努力家で、真面目で。王への敬愛を常に忘れなかった姿がそこにあり。
かたや白と黒の斑の髪を無精のまま、
腹を減らして大衆食堂へ向かう研究者と嘯くガラクタ屋の昼行燈である。]