(この人に復讐を頼むほどに、
あの人……だけじゃない、
あの事件に巻き込まれた人のことを
愛してる人がいる。……ええ、愛されてる)
[あの放火事件の犠牲者は“シー”だけでなく、他の招待客の中にも何人かいた>>0:208>>0:235。命こそ奪われずとも、後の生活に支障を来す程の重傷を負わされた人々もいる。これはハリコには知らされていないことだが、彼女の逮捕以降に「(今回とは別の)あの放火殺人もハリコのせい」という根拠不明の風説が流れたこともあった。
己への復讐代行を願う人の存在を知ったハリコには、恐怖や憤りよりも、不思議とこんな思いが過っていた。]
(―――…じゃあ、この人自身は?)
[“代行者”自身が亡くした、愛する妻と娘の存在。
ふいに過った「まさか彼も」という思考は、続く宣言>>187によって一度意識から外れる。]