[開発途中で、なんかいい感じになった気がするからあげる、と言いながら良心でくれた──わけではなく、ただモルモット用にもらい受けたものだ。
フットマンはグローブを外すとチューブから中身の接着剤を押し出して、傷口に塗り付ける。素早くそれが乾燥したのを確認したら、穴の開いたグローブをはめなおした。
これは、瞬間的に疑似皮膚を形成して皮膚を繋げるためのもの。
まだ確立が済んでいなくて、激しい動きや血圧上昇に耐えられず、塞がりかけの傷口のようにあっさりと開いてしまう代物ではあったけれど、そんなものでも、この場所では重宝する。]
[もし、50年後ぐらいにこの接着剤の完成形が使われていたら、是非フットマンに感謝してほしいぐらいだ。]